災害時の食事に備えよう! 食物アレルギー対応もできる【パッククッキング】のすすめ
昨年の防災の日(9月1日)は、防災のポイントや、避難所生活を想定して知っておきたいことが学べる資料を紹介しました。
今年は、いざというときのために体験しておきたい「防災クッキング」をご紹介します。
日本では、地震や豪雨など、毎年のように自然災害が起こっています。
ご家庭でも もしものときに備えて、ハザードマップや避難所を確認したり、防災バックの準備や食材の備蓄を行っておられると思います。
これらの備えは、「避難所に行く」ためのものが多いのではないでしょうか?
でも、家族に食物アレルギーをもつ方がおられる場合、避難所生活にはさまざまな不安が伴います。
災害が起こっても、崩壊や浸水、土砂崩れなどの危険が及ばないことが確認できている場合は、心身の負担が少ない自宅での避難生活をおくれるよう、備えておくことをおすすめします。
そこで今回は、災害によって 電気・ガス・水道が止まってしまった場合の「在宅避難における食事」について 考えてみたいと思います。
まずは備えをチェック
東日本大震災の場合、復旧までにかかった日数は、電気が6日、ガスが34日、水道が24日でした。
(阪神淡路大震災は、電気が2日、ガスが61日、水道が37日でした)
まずは電気から、その後かなり時間をあけて水道、ガスの順に復旧しています。
災害が起こって数日の間は、これらのライフラインが使えなくなることを想定して備蓄をしましょう。
備えておきたい 水 と ガスコンロ+ガスボンベ
飲料水+調理などに使う水として、家族の人数×1日3リットル×7日分を備えておきましょう。
※あわせて、自治体の災害時応急給水拠点を調べ、給水拠点から水を運ぶためのタンクや袋なども用意しておくと安心です。
電気が復旧すれば、電気調理器具が使えますが、電気復旧までの数日はカセットコンロとガスボンベがあると頼りになります。
電気復旧まで1週間程度かかり、気温が下がる冬に災害が起こる可能性も考ると、1週間分として、カセットボンベは10本ほど用意しておくとよいですね(家族4人を想定)。
※カセットボンベのメーカー岩谷産業のHPでは、備蓄目安が紹介されています。https://www.iwatani.co.jp/jpn/consumer/products/cg/useful/stockpile/
また、食材などの備えについては、農林水産省のHP
農林水産省のHP
「災害時に備えた食品ストックガイド」「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook.html
が参考になります。
ローリングストックのタイミングは、年に2回ほど設定しておき、自宅避難の練習として、ストック食品を食べることで、いざというとき、あせらず対応できます。
自宅避難になったら、何を食べる?
①冷蔵庫(冷凍庫含む)にあるものから食べる
停電すると冷蔵庫が使えなくなるので、まず、冷蔵庫の中の傷みやすいものから食べます。
肉や野菜、冷凍食品などは、後ほど紹介するパッククッキングなどを活用して、早めに食べきりましょう。
※普段から保冷剤を冷凍しておき、電気がストップしたら生鮮食品などはクーラーボックスに移して、できるだけ早く調理するといいですね。
②買い置きしてあるものを食べる
普段から買い置きしてある乾物(切り干し大根などの乾物、乾麺、ドライフルーツ)やお菓子などを食べます。
買い置きしてある食べ慣れているものを食べることは、災害時の不安な気持ちを和らげてくれる効果もあります。
③非常食を食べる
日常的にストックしてるものと合わせて、レトルト食品やフリーズドライ食品など、非常用にストックしてあるものを食べます。
非常食は 定期的にローリングストックを行って、食べ慣れておくと安心です。
自宅避難時の調理におすすめ【パッククッキング】
パッククッキングとは、加熱調理が可能なポリ袋(耐熱温度110℃以上の高密度ポリエチレン製のものなど) に 食材や調味料等を入れ、鍋に沸かしたお湯で加熱する調理法です。
ひとつの鍋でいくつかの調理を同時に行える点や お湯が汚れないのでくりかえし使える点など 災害時にありがたい利点があります。
また皿などの容器に、袋のままのせて食べれば 容器も汚れず洗う水も節約できます。
レトルト食品は主食に偏りがちですが、パッククッキングで副菜を作ることができれば ビタミンやミネラルなどの栄養もとれますね。
食物アレルギーが心配な方も、パッククッキングを活用して 普段食べて慣れているものを調理できれば安心です。
試してみよう【パッククッキング】
災害時に備えて 家にある食材を使ってできるパッククッキングにチャレンジしてみましょう。
【用意するもの】
・耐熱温度が110℃以上のポリ袋
(「高密度ポリエチレン製」と表示のあるものや「アイラップ」など)
・カセットコンロとガスボンベ
・直径20cm程度鍋と鍋の底に敷く耐熱皿
(高温になる鍋底に直接ポリ袋が触れると、溶けてしまう危険性があるため、鍋底に耐熱皿を敷きます)
パッククッキングの例
<和食>ごはんと切干大根の煮物
ごはん(2~3人分)
<材料>(約2人分)
米1合(150 g)
水 220cc
※水の量を増やせば、おかゆも作ることができます。
※人数分の袋に分けて調理すると、初めてでも上手に炊けるうえ、袋のまま容器のうえにのせて食べられるので、洗い物が減ります。
<準備>
ポリ袋に米と水を入れ 空気を抜きながら縛りあげ袋の上部で結んでおく。そのまま30分ほど浸水する(気温が下がる冬場はできれば1時間ほど浸水する)。
<作り方>
①鍋に耐熱皿を入れて、鍋の半分ぐらいまで水を注ぐ。
②水を沸騰させてから 米を入れた袋を入れる。
③再度沸騰したら ふつふつとした状態を保つ火加減にして20分加熱する。
④火を止めて容器に移し、10分蒸らしてから袋を開ける。
※容器のうえで袋の上部を切ってひらくと、容器が汚れず洗い物が減ります。
切り干し大根の煮物
<材料>(3~4人分)
切り干し大根 30g
干ししいたけ 大2枚
にんじん 1/3本
油揚げ 1枚
水 200CC
薄口しょうゆ 大さじ2
砂糖 大さじ1
酒 大さじ1
みりん 大さじ1
顆粒和風だし 小さじ1
<作り方>
①切り干し大根と干ししいたけは少量の水でさっと洗い、ポリ袋に入れて200ccの水を入れてもみ15分ほどおく。
にんじんは千切り 油揚げは細切りにしておく。
②干ししいたけを袋から出して細切りし、袋に戻す。にんじんと油揚げ、調味料も袋に加え、調味料も合わせて 袋をもんで混ぜる。
空気を抜きながら縛りあげ袋の上部で結んでおく。
③鍋の半分ぐらいまで水を注ぎ 沸騰させて②を入れ 30分加熱する。
<洋食>蒸しパンとポトフ
ポトフ
<材料>(2~3人分)
じゃがいも 1個
玉ねぎ 1/2個
にんじん 1/3本
キャベツ 2枚
ウインナーソーセージ 3本
顆粒コンソメ 小さじ1
塩・こしょう 少々
水 200cc
<作り方>
①野菜とウインナーソーセージを一口サイズに切る。
②ポリ袋に水と顆粒コンソメ、塩・こしょうを入れて混ぜ、具材を加えて 空気を抜きながら縛り上げて上部で結ぶ。
③鍋の半分ぐらいまで水を注ぎ 沸騰させて②を入れ 30~40分加熱する。
甘納豆入り米粉蒸しパン
<材料>(1人分)
米粉ホットケーキミックス 50g
豆乳(ジュースなどでも可)50ml
こめ油(他の油でも可) 大さじ1/2
甘納豆(レーズン・バナナ・コーンなどでも可) お好みの量
<作り方>
①ポリ袋にこめ油と豆乳を入れ 袋をもんで混ぜる。
②ホットケーキミックスを加えて 粉っぽさがなくなるままでもんで混ぜる。甘納豆も加えてまぜる。
③袋の中で生地をあつめ、膨らむ分の余裕を作って 空気をぬきながら袋を縛り上げて上部で結ぶ。
④鍋の半分ぐらいまで水を注ぎ、沸騰させて③を入れ、蓋をして20分加熱し、裏返してさらに10分加熱する。
食物アレルギーのある方は、災害が起こると普段よりさらに食べるものに気を付けなければならなくなると思います。
パッククッキングを活用すれば、ひとつの鍋で同時にアレルゲン対応の材料を使った調理も行えます。
また、普段食べているものを調理して食べることができるので安心です。
今回は写真のような、普段からストックしているアレルギー対応の食材を使用しました。
こししたストック食材をローリングストックを兼ねて使い、パッククッキングを試してみてみてください。