食で応援! 運動能力アップごはん 第3回 エネルギーを生む栄養素 ~炭水化物~
運動に取り組むお子さんをサポートするための、栄養やおすすめレシピをご紹介する連載です。
第3回のテーマは炭水化物。
炭水化物が、運動する体でどんな役割を果たすのかや、上手に栄養を取り入れられるレシピをご紹介します。
監修:中江祥子(管理栄養士)
エネルギーを生む栄養素~炭水化物~
炭水化物の代表例はごはん、麺、パン、いも類です。
ダイエットの敵のように扱われている炭水化物ですが、運動をする時に体の中でエネルギーとなる、なくてはならない栄養素です。
炭水化物は、糖質と食物繊維でできています。
糖質は体内に消化・吸収される炭水化物、食物繊維は消化されない炭水化物です。
糖質の役割と食べ方
糖質の役割とは?
糖質の代表例であるデンプンは、消化されるとグルコースとなって吸収され、エネルギーに変わります。
また、余ったグルコースはグリコーゲンとして貯蔵され、血糖値を調節したり、脳のエネルギー、運動時の筋肉でのエネルギー源となります。
グリコーゲンのもとになる糖質を摂ることで脳のエネルギーが増すので、集中力をもって激しい運動に取り組むことができるのです。
炭水化物に含まれる糖質の量
食品名 | 目安量 | エネルギー | 糖質量 |
ごはん | 大盛り(300g) | 504kcal | 110.4g |
スパゲティ | 1人前(100g) | 376kcal | 71.2g |
うどん(茹で) | 1玉(250g) | 263kcal | 52.0g |
食パン | 6枚切り(1枚) | 158kcal | 26.6g |
じゃがいも | 中1個(100g) | 76kcal | 16.3g |
さつまいも | 1本(300g) | 420kcal | 99.3g |
糖質の摂り方
糖質を摂るときに、おさえておきたいポイントはいくつかあります。
GI値を味方につける
GI値(グリセミック・インデックス)とは…食品に含まれる糖質が、体内でどれだけ吸収されるか示したものです。
低GI値の食事→糖質が脂肪に変わりにくい
低GI値の食品は、摂りすぎた糖質が脂肪に変わりにくいため、体脂肪を気にする選手におすすめです。
体脂肪率が低い選手のほうが、持久力が高くなるとされています。
中~高GI値の食事→筋肉のリカバリーに役立つ
中~高GI値の食品は、筋肉のエネルギー源であるグリコーゲンとして利用されやすいので、リカバリーに役立ちます。
筋力を使った運動後すぐのタイミングに、筋肉のもとになるたんぱく質と合わせて 吸収が早い高GI値食品を摂ることで、筋肉の合成を助けます。
ビタミンB群と合わせて摂る
糖質をエネルギーとして利用するためには、ビタミンB群が必要不可欠です。
ビタミンB群は玄米や胚芽米などには含まれますが、白米にはほとんど含まれません。
白米に玄米や胚芽米を混ぜたり、一緒に食べるおかずに豚肉などのビタミンB群が豊富な食材を使うと、効率よくエネルギーに変えられます。
(ビタミンB群の働きは、ビタミンの回でご紹介します)
食物繊維の役割
食物繊維とは?
食物繊維は、ヒトの体の中では消化できないので エネルギーにはなりませんが、大切な働きをしています。
食物繊維は水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維があり、それぞれ働きが異なります。
水溶性食物繊維は、コレステロールの吸収を抑えたり、血糖値の急上昇を防ぐなど、生活習慣病の予防に効果的です。
不溶性食物繊維は、腸を刺激して腸の動きを活発にしたり、水分を吸収して便を軟らかくし、便秘を予防し腸内環境を整える働きがあります。
腸内環境を整えておくことで、疲労回復に必要なエネルギーをしっかり吸収することができます。
食物繊維は主に植物性食品に含まれ、肉や魚、卵にはほとんど含まれないので、副菜などで積極的に摂るように心がけましょう。
食物繊維が豊富な食品
水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 |
海藻(こんぶ、わかめ、寒天など)、こんにゃく、くだもの、さといも など | 精白されていない穀類(玄米、胚芽米、ライムギパンなど)、野菜(ごぼう、れんこん、おくら、大根など)、豆類、きのこ など |
Point
・糖質は、吸収されてエネルギーに変わる
・余った糖質はグリコーゲンとして貯蔵され、運動時に筋肉のエネルギーとして利用される。
・ビタミンB群と組み合わせて摂ることで、効率よくエネルギーに変えられる。
おすすめレシピ① <玄米入り豚キムチご飯>
主食(糖質+ビタミンB1)
<材料(2合分)>
精白米 270g
玄米 30g
豚もも肉(薄切り) 66g
キムチ 66g
しょうゆ 大さじ1
塩 少々
葉ネギ 適量
<栄養価(1人分)>
エネルギー 368kcal/炭水化物 74.6g/たんぱく質 10.4g/脂質 3g/食塩 1.5g/ビタミンB1 0.28mg
※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。
https://cookpad.com/recipe/6803308
おすすめレシピ② 豚肉ときのこの炒めビーフン
主菜(糖質+ビタミンB1)
<材料(3人分)>
ビーフン 120g
豚もも肉(薄切り) 150g
しめじ 45g
エリンギ 45g
たけのこ(水煮) 60g
赤パプリカ 30g
ニラ 150g
にんにく 1.5片
しょうゆ 大さじ1/2
オイスターソース 大さじ1/2
油 適量
水 3/4カップ
<栄養価(1人分)>
エネルギー 299kcal/炭水化物 36.1g/たんぱく質 14.8g/脂質 10.6g/食塩 1.1g/ビタミンB1 0.49mg
※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。
https://cookpad.com/recipe/6803353
おすすめレシピ③ さつまいもと根菜のきんぴら
副菜 (食物繊維)
<材料(3人分)>
さつまいも 90g(小1本)
ごぼう 45g
れんこん 60g
スナップエンドウ 15g
砂糖 大さじ2/3
しょうゆ 大さじ1/2
油 適量
<栄養価(1人分)>
エネルギー 108kcal/炭水化物 18.4g/たんぱく質 1.6g/脂質 3.1g/食塩 0.7g/食物繊維 2.2g
※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。