よい本と出逢いました😊

ごきげんよう! スマイリー平野😊です。 

いつも、笑顔会ブログをご覧いただきありがとうございます。 

新学年がスタートして1週間が経ちました。新たな生活のリズムに少し慣れたことと 思います。しかし、新学年(新年度)にあたり、何か新しいことをしようと思って3日坊主で終わったことはありませんか?「インキュベートの法則」といって、どんなことでも 少し我慢して21日間続ければ、顕在意識から潜在意識にバトンタッチして行動が習慣として定着すると言われています。僕も、ヘビースモーカーだった12年前に禁煙を決意したとき、3週間ほど我慢すればやめられると言われて、頑張ったらやめることができました。

もうひとつ、僕は、10年程まえから必ず毎週1冊以上の本を読むことを習慣にしています。先週は、「おもかげ復元師」笹原留似子著ポプラ社 2012年8月11日 第1刷を読みました。東日本大震災による津波や火災で大きな損傷を受けた遺体を生前の姿に戻すボランティアをされた納棺師の女性が書かれた本です。一部をご紹介します。

 3・23 紀州造林  (3月11日の震災後、12日目の遺体安置所でのことです)

   翌日も紀州造林の安置所にうかがいました。「わたしのところもお願いできますか」 すぐに声がかかりました。前日、棺に向かっているわたしの姿を見て、あれは何をしているのだろうか、うわさになったようです。

  次々と呼ばれて、明日になってもいいので来てほしい、とお願いされました。なかには、声をかける勇気が出ずに遠くから様子をうかがったり、何度もぐるぐると安置所内を回っていた人もいました。

  声をかけてもらったら、「では、この後にうかがいますね」とお返しするようにしました。 みなさん、勇気を出して、思いきって話しかけてくれます。だから、最初のお返事はとにかく微笑みで返そう、と決めました。

  この日も、親を失ったたくさんの子どもたちに出会いました。あまりに悲しいお別れです。 私は何度も胸を詰まらせました。

  お父さんを亡くした、四歳ほどの娘さん。

  とても会わせられる姿でないと、二日も対面を先延ばしにされていたといいます。陥没していた目の下の部分をどう戻すか、そこが復元のポイントになると思いました。津波で何かにぶつかったのでしょう。大きな傷でした。

  まだ若いお父さんです。頬からあごにかけてのラインに、若さが残っています。娘さんをだっこしたとき、きっと小さな手がこのラインに触れていたのだろうな、と思いました。 だから、しっかり戻してあげよう。娘さんが、また、触れることができるように。

  さぞやかわいがっていたことでしょう。最もかわいい頃なのです。そして、娘の成長を楽しみにしていたことでしょう。わたしはそんなことを思い浮かべながら、やさしいパパの顔になるよう、懸命に復元し、おもかげをひとつひとつ戻しました。

  お父さんに微笑みが戻ってようやく、対面してもらえました。おじいちゃん、おばあちゃんも、一緒に対面してくれています。じっと動かないお父さんのやさしい顔を見て、目に涙をいっぱいためた彼女から出てきたのは、まさに懸命の一言でした。「パパ、さようなら……」おばあちゃんが手で顔を覆いました。おじいさんは目に涙をいっぱいためて肩を震わせています。ママが泣きながらとなりで言いました。「さようならは、さみしすぎるね。またね、にしようか」女の子は、じっとお父さんの顔を見て、いいました。「パパ、またね……」

  かわいいその声に、みんなが泣きました。わたしも涙をこらえることができませんでした。わたしは言いました。「ぜひパパに触れさせてあげてください。たくさんパパに触れて、彼女が思った通りの時間を過ごさせてあげてください」

  中学生の女の子も、お父さんを亡くしていました。この年頃の女の子がお父さんを亡くすということは、未来への不安を抱えることでもあります。今までは、その存在感に安心しているから、いなくなるなんて考えたこともなかった。ところが、震災がそれを変えてしまいました。しかも、壮絶な別れを経験していました。お父さんが津波に飲み込まれた瞬間、その場に居合わせていたというのです。「お父さん!って呼んだら、来るな!って、お父さんが叫んで……」そのまま波のなかに消えていった。そう泣きながら教えてくれました。なきがらはなかなか見つかりませんでした。お父さんが見つかるまで、どれだけ不安だったかも話してくれました。

  毎日、当たり前にそこにいたお父さん。それが、何日経過しても家に帰ってこない。もしかしたら、本当に死んでしまったの? 生きていてほしい、どこかにいてほしいという思いと、とにかく早く見つかってほしいという思い……。

  小学校まではよく話をしたお父さんとも、中学に入るとあまり話をすることがなくなったそうです。もっとたくさん話をしておけばよかった、とポツリといいました。

  ふんわりとした髪の毛を持つ、ふっくらとしたやさしそうなお父さんでした。髪の毛のふんわりがしっかり戻るよう、意識しました。笑いじわもたくさんあって、マッサージしながら復元していくと、うっすらと笑みが浮かびました。「お父ちゃんだ、お父ちゃん……」 女の子はすがりつきました。嘘であってはしいという気持ちと、お父さんは死んでしまったんだと認める気持ち。声にならない声が、安置所に広がりました。

  高校生の男の子は、お母さんを亡くしていました。この年頃にしてはめずらしく、男の子なのに大泣きしています。何を一番伝えたいの、と聞くと、ぼろぼろ涙を流しながら、こんな答えが返ってきました。「毎日、お弁当を作ってくれてありがとうって。おいしかったんだよ、お母ちゃんの弁当。なのに、一度もお礼をいえなかった。あの日の朝は、大げんかをしてしまって」 とても素直ないい子でした。お母さんにきっと思いは伝わっているよ、と彼にいいました。お母さん、喜んでくれているよ。

  お母さんを亡くした中学生の男の子は、ずっとうつむいたままでした。ご家族がなきがらを囲んでいる間も、なかなかお母さんを見ようとしません。ところが、突然、大きな声で叫んだかと思うと、なきがらにすがりつきました。「もう反抗しないよ。反抗しないから、反抗しないから……。お母さん、帰ってきて……」 最後はかすれて、言葉が聞き取れませんでした。大きな身体をした男性警察官が、そばで肩を震わせ、顔をゆがめて泣いていました。

その他、幼い子どもを亡くされた親御さんの話など涙なくして読めない文章でした。そして、これからはもっと親切で愛情深い人になりたいと思いました。著者の深い想いと行動には本当に頭がさがります。 しかし、そんな中で、またもや心ない発言をした大臣の報道がありました。ほんとうに、強い憤りを覚えました。  

今週も、長文を読んでいただきありがとうございます。今後も心に残る良書があれば ご紹介したいと思います。 それでは、ごきげんよう!