食で応援! 運動能力アップごはん 第12回 パフォーマンス向上させる食事③~試合当日~
運動に取り組むお子さんをサポートするための、栄養のお話しや おすすめレシピをご紹介する連載です。
第12回のテーマは、パフォーマンスを向上させる食事③「試合当日の食事」。
試合前と試合後には、どんな食事をするのがベストなのか。
食材の選び方やおすすめレシピをご紹介します。
監修:中江祥子(管理栄養士)
試合前はおなかに優しい食事を!
試合前は、体を動かすエネルギー源である糖質を多めにし、消化に時間のかかる脂質は控えめにします。
主菜は焼く、ゆでる、蒸すなどの油の少ない調理法を選びます。
食べやすいようにおにぎりやサンドウィッチにしたり、温かいうどんを食べるのもおすすめです。
食後は消化に時間がかかるので、試合の3~4時間前には食事を終えるようにしましょう。
試合開始が昼食の時間にかかるときは、試合の2~3時間前に 脂肪の少ないパンやカステラ、バナナなど、1時間前にエネルギーゼリーや100%オレンジジュースを補給すると良いです。
試合前のおすすめレシピ
☆午前に試合がある場合 ☆
試合の3~4時間前に糖質中心の朝食をとりましょう!
<メニュー例>
・餅入り雑炊
・わかめおにぎり
・ヨーグルト
・柿
<全体栄養価(1人分)>
エネルギー 721kcal/たんぱく質 27.4g/脂質 5g/食塩 1.3g/カルシウム 145mg/
ビタミンB6 0.4mg
【ポイント】
・試合開始の3~4時間前に炭水化物中心の朝食を摂りましょう。
・消化の良いごはんや餅、うどんがおすすめです。
・雑炊にすることで、消化よより良くしています。
<主食>糖質UP・消化に良い!
餅入り雑炊
< 材料(1人分)>
ご飯 140g
切り餅 1個
鶏むね肉 50g
大根 30g
にんじん 10g
青ネギ 適量
塩 少々
しょうゆ 小さじ1
かつおだし 150g
<栄養価(1人分)>
エネルギー 448kcal/たんぱく質 21.3g/脂質 1.5g/食塩 1g/カルシウム 145mg/ビタミンB6 0.42mg
<作り方>
①鶏むね肉、大根、にんじんは1cm角、青ネギは小口切りにする
②切り餅は1/4に切る
③だしに鶏肉と大根、にんじんを入れて加熱する
④柔らかくなったら、ご飯と餅を入れて味付けする
⑤餅が柔らかくなったらネギを入れて完成
<ポイント>
・糖質中心の朝食で、エネルギーになりやすく、雑炊にすることで消化をよくします。
<主食>糖質UP
わかめおにぎり
< 材料(1人分)>
ご飯 120g
塩 少々
白ごま 適量
カットわかめ 少々
<栄養価(1人分)>
エネルギー 202kcal/たんぱく質 3g/脂質 0.4g/食塩 0.2g
<作り方>
炊き上がったご飯に塩、カットわかめ、白ごまを混ぜて握る。
<ポイント>
・温かいご飯に混ぜることで、カットわかめは戻さずに使えます。
<果物> 柿
<ポイント>
・柿は、免疫力強化や風邪予防が期待できる、ビタミンCやカロテンが豊富な果物です。
☆午後に試合がある場合☆
いつもと同じか少し少なめの朝食をとります。または、試合3~4時間前に軽食をとりましょう。
<メニュー例>
そぼろあんかけうどん
チーズおかかおにぎり
ヨーグルト
みかん
<全体栄養価>
エネルギー 614kcal/たんぱく質 25.6g/脂質 10.3g/食塩 1.7g/カルシウム 195mg/ビタミンB6 0.62㎎
【ポイント】
・試合の3~3時間半前に、お昼ではなく軽食(補食)を摂りましょう。
・ボリュームを減らしたうどんやおにぎりを食べて、エネルギーチャージしておきましょう。
<主食>糖質・ビタミンB6・消化によい
そぼろあんかけうどん
< 材料(1人分)>
うどん 1/2玉
鶏ひき肉 60g
玉ねぎ 20g
にんじん 10g
三つ葉 適量
かつおだし 150g
しょうゆ 小さじ1/2
みりん 小さじ1/2
食塩 少々
片栗粉 小さじ1・1/2
<栄養価(1人分)>
エネルギー 227kcal/たんぱく質 16.2g/脂質 5.4g/食塩 1.2g/ビタミンB6 0.49㎎
<作り方>
①玉ねぎ、にんじんは細切り、三つ葉は2cm幅に切る
②だしに鶏ひき肉、玉ねぎ、にんじんを入れて加熱する
③火が通ったら、しょうゆ、みりん、塩で味付けしとろみをつける
④うどんを茹でて、ゆであがったらお湯を捨てる
⑤器にうどんを入れて、3をかけて三つ葉を添える
<ポイント>
・試合前なので、普段よりも少しボリュームを少なめにします。
・温かくいただける1品で、片栗粉でとろみをつけて食べやすくしています。
<主食>糖質・カルシウム
おかかチーズおにぎり
< 材料(1人分)>
ご飯 140g
塩 少々
かつおぶし 適量
チーズ 10g
<栄養価(1人分)>
エネルギー 271kcal/たんぱく質 6.2g/脂質 3g/食塩 0.4g/カルシウム 67mg
<作り方>
①チーズは1cm角に切っておく
②炊き上がったご飯に、塩、かつおぶし、チーズをまぜて握る
<ポイント>
・チーズに豊富なカルシウムは、筋肉の収縮に必要不可欠な栄養素です。
<果物> みかん
【ポイント】
・みかんのすじ薄皮には、ビタミンCの吸収を高めたり、健康効果が言われている成分が含まれます。みかんを食べる際は、すじをとらずに、薄皮ごと食べるのがおすすめです。
試合後は疲れた体を回復させよう!
試合後はエネルギーである筋肉のグリコーゲンや、エネルギーを作り出すのに使ったビタミンやミネラルが消費されています。
筋肉のグリコーゲンを回復させるために、できるだけ早く糖質の十分な補給を行うことが大切です。
糖質をエネルギーに変えるときに必要なビタミンB1も積極的に摂りましょう。
また、糖質とたんぱく質を合わせて摂ることで、筋肉のグリコーゲンの回復を促進するだけでなく、ダメージを受けた筋タンパク質の合成も高めてくれます。
疲労回復にはクエン酸やビタミンCの摂取が有効です。
クエン酸は運動後にグリコーゲンの回復を促進し、乳酸を代謝して疲労からの回復をサポートしてくれます。
疲労した時には、ごはんやパン、うどんなどの糖質とともに、油の少ない魚や肉、大豆製品などのたんぱく質、レモンや梅干しなどのクエン酸入りの甘酸っぱい食品を摂ることがおすすめです。
※第9回「おやつではなく捕食をしよう」で詳しく説明しています。
☆Point☆
・試合当日の朝は、糖質を補給し、消化の良いものを食べる
・試合後は、糖質とたんぱく質、クエン酸やビタミンCを補給し、疲労した筋肉を回復させる
試合後の夕食 おすすめレシピ
<和食の献立例>
・梅ご飯
・鱈のちゃんちゃん焼き
・さつま芋のレモン煮
・豚汁
<全体栄養価>
エネルギー 783kcal/たんぱく質 33.7g/脂質 11.9g/食塩 3g/カルシウム 188mg/ビタミンB1 0.57mg/ビタミンB6 0.73mg/ビタミンB12 4.7μg/ビタミンC 72mg
<ポイント>
・疲れて身体を回復させるのに効果的なビタミンB1やビタミンC、クエン酸を豊富に含む食材を使用しました。
・タラやさつまいも、根菜、里芋など旬の食材を使用し、この時期におすすめの献立です。
・ごはんに梅干しを入れて炊くことで、疲れて食欲が落ちていても食べやすいごはんです。
主食〈クエン酸〉
梅ご飯
< 材料(1人分)>
精白米 90g
梅干し 1/3個
<栄養価(1人分)>
エネルギー 324kcal/たんぱく質 5.5g/脂質 0.8g/食塩 0.4g
<作り方>
①梅干しは種を取って刻む
②米を研いで浸水させ、刻んだ梅干しを入れて炊く
<ポイント>
・食欲が低下しているときでも、梅干しの酸味で食べやすいご飯です
・梅干しに含まれるクエン酸は疲労回復に効果的です
<主菜>
鱈のちゃんちゃん焼き風
< 材料(1人分)>
鱈 1切れ
薄力粉 適量
玉ねぎ 30g
にんじん 10g
キャベツ 50g
しめじ 10g
みそ 小さじ1・1/2
砂糖 小さじ1
酒 小さじ1
みりん 小さじ1
バター 適量
<栄養価(1人分)>
エネルギー 250kcal/たんぱく質 21.6g/脂質 8.9g/食塩 1.4g/ビタミンC 29㎎
<作り方>
①鱈は5等分に切る。
②玉ねぎ、にんじんは短冊切り、キャベツは3㎝角くらいに切る。
③鱈に薄力粉をまぶし、バターで焼いて取り出す。
④フライパンにバターを熱し、玉ねぎ、にんじん、しめじを炒める。
⑤しんなりしたら、キャベツを加える。
⑥調味料を合わせておき、キャベツがしんなりしたらタラを戻して、味つけする。
<ポイント>
・鱈は脂質が少ない魚で、アスリートにもおすすめです。
・キャベツにはビタミンCが豊富で、疲労回復に効果的です。
<副菜> 糖質・ビタミンC
さつまいものレモン煮
< 材料(1人分)>
さつま芋 80g
レモン 15g
はちみつ 小さじ2
<栄養価(1人分)>
エネルギー 136kcal/たんぱく質 1.1g/脂質 0.3g/ビタミンC 38mg
<作り方>
①さつまいもは厚さ1㎝ほどの輪切り又は半月切りにする。
②レモンは皮をむいて小さく切る。
③鍋にさつまいも、はちみつ、レモンを絞りながら入れる。
④焦げないように、弱火で、さつまいもが柔らかくなるまで煮る。
<ポイント>
・さつま芋やレモンに豊富なビタミンC、レモンに豊富なクエン酸は、疲労回復におすすめです。
汁物〈ビタミンB1〉
コロコロ汁
<栄養価(1人分)>
エネルギー 73kcal/たんぱく質 5.6g/脂質 1.9g/食塩 1.2g/ビタミンB1 0.26㎎
< 材料(1人分)>
豚肉 25g
里芋 30g
大根 20g
ごぼう 15g
にんじん 5g
こんにゃく 10g
青ねぎ 3g
塩 少々
しょうゆ 小さじ1
だし 150g
<作り方>
①豚肉は1㎝幅、大根、にんじん、こんにゃくは1㎝角、ごぼうは乱切りする。青ねぎは小口切りにする。
②里芋は皮をむいて一口大に切り、下茹でする。
③だしに豚肉を入れ、大根、にんじん、ごぼう、こんにゃくを入れる。
③野菜が柔らかくなったら里芋を入れる。
④里芋が柔らかくなったら、味付けし、器に盛ってネギを添える。
<ポイント>
・冬が旬の根菜や里芋を使った汁ものです。
・豚肉に豊富なビタミンB1は、糖質をエネルギーに変換するのに不可欠で、エネルギー回復に必要です。
<洋食献立例>
・コンソメリゾット
・豚肉のガーリック炒め
・ブロッコリーとキャベツのツナサラダ
・卵スープ
<全体栄養価>
エネルギー 701kcal/たんぱく質 31.6g/脂質 26.0g/食塩 2.8g/
ビタミンB1 0.87㎎/ビタミンC 86㎎
<ポイント>
・試合後、疲れていて食欲がないときにはリゾットがおすすめです。
・主菜には、エネルギー回復に必要なビタミンB1を多く含む豚肉、ビタミンB1の働きを助けるといわれているアリシンを多く含む、玉ねぎ、にんにくを使用しました。
・副菜のサラダは、疲労回復に効果的なビタミンCを多く含む食材を取り入れました。
<主食>食べやすい!
コンソメリゾット
<栄養価(1人分)>
エネルギー 380kcal
たんぱく質 8.8g
脂質 2.7g
食塩 1.4g
<材料(1人分)>
ご飯(炊いたもの) 200g
水 150g
ベーコン 15g
じゃがいも 30g
冷凍コーン 5g
塩 少々
コンソメ 小さじ1/2
こしょう 少々
パセリ T適量
<作り方>
①じゃがいもは1㎝角の角切りにして、水にさらす。ベーコンは1㎝角に切る。
②水にじゃがいも、ベーコンを入れて加熱し、柔らかくなったら、ご飯とコーンを入れる。
③調味して、器に盛り、パセリを添える。
【ポイント】
・試合後、疲れて食欲がない時は、汁気の多いリゾットなどにすると食べやすいです。
・リゾットのかたさは、水の量で調節してください。
<主菜> たんぱく質、ビタミンB1、アリシンがとれる
豚肉と豆腐のガーリック炒め
<栄養価(1人分)>
エネルギー 251kcal/たんぱく質 21.1g/脂質 13.7g/食塩 1.2g/ビタミンB1 0.8mg
<材料(1人分)>
豚肉 80g
木綿豆腐 50g
にんにく 3g
玉ねぎ 30g
にんじん 5g
葉ネギ 5g
ごま油 適量
砂糖 小さじ1
塩 少々
しょうゆ 小さじ1
<作り方・ポイント>
※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。
https://cookpad.com/recipe/7089429
<副菜> ビタミンCがとれる
ブロッコリーとキャベツのツナサラダ
<栄養価(1人分)>
エネルギー 34kcal/たんぱく質 4.2g/脂質 0.8g/食塩 0.1g/ビタミンC 70mg
<材料(1人分)>
ブロッコリー 40g
キャベツ 20g
パプリカ 8g
ツナ缶 10g
<作り方>
①ブロッコリーは一口大、キャベツは短冊切り、パプロ化は1cm角に切る。
②ブロッコリーとキャベツはさっとゆでる。
③野菜と、油を切ったツナを和える。
<ポイント>
・ブロッコリーやキャベツ、パプリカに豊富なビタミンCは疲労回復におすすめです。
<麺メインの献立例>
・キーマうどん
・ゴマ塩おにぎり
・バジルチーズポテト
・オニオンスープ
<全体栄養価>
エネルギー 880kcal/たんぱく質 36.3g/脂質 27.1g/食塩 3g/ビタミンB1 79mg/ビタミンC 66mg
<ポイント>
・キーマうどんは,運動後でも食べやすい麺類と味付けにしました。
・疲労回復に効果的な,ビタミンB1やビタミンCを多く含む食材を取り入れました。
<主食・主菜>
キーマうどん
<栄養価(1人分)>
エネルギー 551kcal/たんぱく質 25.7g/脂質 22.7g/食塩 1.7g /ビタミンB1 0.69mg/ ビタミンC 47mg
<材料(1人分)>
うどん 1玉(200g)
豚ミンチ 100g
玉ねぎ 30g
レンコン 30g
赤パプリカ 10g
黄パプリカ 10g
カレールウ 10g
お湯 大さじ2/3
カレー粉 小さじ1/3
油 適量
<作り方・ポイント>
※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。
https://cookpad.com/recipe/7089405
<主食>
ゴマ塩おにぎり
<栄養価(1人分)>
エネルギー 205kcal
たんぱく質 205g
脂質 0.7g
食塩 0.1g
<材料(1人分)>
ご飯 140g
黒ゴマ 小さじ2
塩 少々
<作り方>
①炊きあがったご飯に、黒ゴマと塩を混ぜ、握る
<ポイント>
・糖質を補給してエネルギー回復をします。
<副菜>
バジルチーズポテト
<栄養価(1人分)>
エネルギー 81kcal/たんぱく質 2.2g/脂質 3.5g/食塩 0.3g/ ビタミンC 17㎎
<材料(1人分)>
じゃがいも 60g
チーズ 5g
バジル(粉) 適量
オリーブオイル 小さじ2/3
塩 少々
<作り方>
①じゃがいもは2㎝角くらいに切る。
②チーズは1㎝角に切る。
③じゃがいもを茹で、じゃがいもが柔らかくなったら、お湯を捨てる。
④チーズ、バジル、オリーブオイル、塩を入れて混ぜる。
<ポイント>
・じゃがいもに含まれるビタミンCは加熱に強いので、効率よくビタミンCを補給できます。
・糖質を補給してエネルギー回復をします
<汁物>
オニオンスープ
<栄養価(1人分)>
エネルギー 43kcal/たんぱく質 5.2g/脂質 0.2g/食塩 0.9g
<材料(1人分)>
鶏ささみ 30g
片栗粉 適量
玉ねぎ 50g
にんじん 5g
カットわかめ 適量
コンソメ 小さじ1/2
塩 少々
こしょう 少々
水 150g
<作り方>
①ささ身、玉ねぎ、にんじんは細切りにする。
②ささ身に片栗粉をまぶす。
③お湯にささ身、玉ねぎ、にんじんを入れて加熱する。
④鶏肉と野菜に火が通ったら、味付けをして、カットわかめを入れる。
<ポイント>
・ささ身に片栗粉をまぶすことで、ささ身を柔らかくいただけます。