食で応援! 運動能力アップごはん 第9回 おやつではなく補食をしよう! ~栄養素を補う食事~

運動に取り組むお子さんをサポートするための、栄養やおすすめレシピをご紹介する連載です。

第9回のテーマは、補食。

運動に取り組むお子さんは、運動量の分だけ必要な栄養素を摂る必要があります。

運動の前後に食べるものは、エネルギーや栄養素が事がおすすめです。

では、どんな時にどんなものを、どのタイミングで食べればいいのでしょうか?

監修:中江祥子(管理栄養士)

食事以外に何を食べていますか?

ケーキ、クッキー、スナック菓子などのお菓子は、食べる楽しみを満たしてくれます。

しかし、甘いものやスナック菓子からはエネルギーは補給できますが、成長やスポーツに必要なたんぱく質やビタミン、ミネラルを十分に補うことはできません。

栄養バランスを考え、お菓子ではなく、おにぎりやパン(菓子パンはNG)、果物や乳製品を摂るように心がけましょう。

「補食」は食事の間の「つなぎ」

運動に取り組む人が摂るべきエネルギーや栄養素を、1日3回の食事で補給することは難しいですね。

不足しているエネルギーや栄養素は、食事と食事の間に「補食」で上手に摂りましょう。

補食を摂ることで 血糖値(※)の維持を図ることができ、運動パフォーマンスの維持にも繋がります。

※血糖値は、体内を流れる血液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度のこと。血糖値の上下が激しいと、身体が疲れやすくなります。

では、上手に補食を摂るには、何に気を付けたらよいのでしょうか?

☆補食のポイント① 目的に合わせて食品を選ぶ

補食では目的に合わせて食品を選ぶことが大切です。

エネルギーを補給したい!→おにぎり、パン、バナナ、カステラ、和菓子など(糖質を補給)

体調を整えたい!→オレンジ、グレープフルーツ、果物などの果物(ビタミン、ミネラルを補給)

身体作りをしたい!→卵、ヨーグルト、牛乳(たんぱく質、カルシウムを補給)

☆補食のポイント② タイミング

練習や試合の前後であれば、補食のタイミングが運動パフォーマンスに影響を与えます。

食べるタイミングに合わせ、適切な補食を摂りましょう。

練習・試合前

練習・試合の3~4時間前は、筋肉や脳のエネルギーが不足している場合があります。エネルギーを補給するために糖質中心の補食を摂ることをおすすめします。

(練習・試合開始の3~4時間前にしっかりとした食事をとっていれば、無理して補食をとる必要はありません)

練習・試合の3~4時間前であれば、時間に余裕があるので、主食中心の腹持ちの良いものを選びます。

糖質中心(おにぎり、パン、うどんなど)

練習・試合の2~3時間前は 競技に影響が出ないように、消化の良いものを選びます。

消化の良いもの(果物、エネルギーゼリー、和菓子など)

練習・試合の1時間前であれば、100%オレンジジュース、バナナなどで果糖を補給するか、エネルギーゼリー、スポーツドリンクを適度に摂ることをおすすめします。

エネルギーゼリーやスポーツドリンクに含まれるブドウ糖は、血糖値が上昇しやすい特徴があります。運動前に血糖値が上昇しすぎると、運動中に血糖値が急激に下がり、めまいや寒気、けいれんなどの低血糖症状が起きてしまいます。水分補給にもなるのでおすすめですが、摂りすぎには注意が必要です。

練習・試合間

練習や試合を行うと、運動量のぶんエネルギーは使われてしまっています。次の練習や試合に備えて、筋肉や脳のエネルギーを回復させたい場合は、早めに糖質を補給します。

体重当たり1~1.2gの糖質摂取が良いとされています。小学校高学年のお子さんの場合、ツナマヨや鮭のおにぎり1個(糖質約38g)、バナナ2本(糖質約40g)、エネルギーゼリー(糖質30~50g)が目安の分量です。

次の練習・試合までの空き時間が、30分程度なら スポーツドリンクやゼリーなど1時間程度なら 小さめのおにぎり。1時間以上空く場合は 炭水化物+たんぱく質がおすすめです。

練習・試合後

運動で使われたエネルギーの回復を早めたり、ダメージを受けた筋肉の修復を行うために、運動直後(20分以内)に運動直後に糖質とたんぱく質を補給します。効率よくエネルギーに変えるために、ビタミンB1も一緒に摂ることがおすすめです。

<糖質+たんぱく質の例> 豚まん、サンドウィッチ(※具に揚げ物など油の多いものは避ける)、具入りおにぎりなど

おすすめレシピ ~運動後の軽食~

糖質+たんぱく質+ビタミンB1+クエン酸

豚肉の梅肉おにぎらーず

<材料(1個分)>
ご飯(炊いたもの) 100g
梅干し 2g
豚肉こま切れ 50g
玉ねぎ 10g
塩 少々
こしょう 少々
油 適量
寿司のり 1枚

<栄養価(1人分)>

エネルギー 288kcal/ たんぱく質 13.4g / 脂質 10.6g / 食塩 0.5g / ビタミンB1 0.49㎎

<作り方>

①梅干しは刻み、豚肉は2cm幅、玉ねぎはスライスにする。
②油を熱して、豚肉と玉ねぎを炒め、塩・こしょうで味付けする。
③ご飯に刻んだ梅干しを混ぜる。
⑤ご飯の上に②をのせる。
⑥さらに、残りの③をのせて、のりで包む。

<ポイント>

・運動後には糖質とたんぱく質を補給して、疲労や筋肉の回復に努めます。
・豚肉に豊富なビタミンB1は、効率よく糖質をエネルギーに変換してくれます。
・玉ねぎに含まれるアリシンという成分は、ビタミンB1の働きを長くしてくれます。
・梅干しに含まれるクエン酸は、疲労回復に効果的です。

糖質+たんぱく質+ビタミンC

ポテト卵バーガー

<材料(1個分)>

イングリッシュマフィン 1個
じゃがいも 25g
ゆで卵 1/2個分
スライスチーズ 1枚
ヨーグルト 小さじ1
マスタード 小さじ1
こしょう 少々
キャベツ 30g

<栄養価(1人分)>

エネルギー 229kcal / たんぱく質 11.1g / 脂質 7.5g / 食塩 1.1g / カルシウム 102mg / ビタミンC 19mg

<作り方>

①じゃがいもを茹でて潰し、つぶしたゆで卵と和えて、ヨーグルト、マスタード、胡椒で味付けする。
②イングリッシュマフィンに②とチーズ、キャベツを挟む。

<ポイント>

・マヨネーズの代わりにヨーグルトを使って脂質を少なくしています.
・胚芽玄米入りイングリッシュマフィンを用いると、ビタミンB1を補給できます。
・じゃがいもやキャベツには、疲労回復に効果的なビタミンCが豊富です。

糖質+たんぱく質+ビタミンB1

玄米入り鶏むね肉レモン風味おにぎらーず

<材料(1個分)>

玄米入りご飯(炊いたもの) 100g
塩(ごはん用) 少々
鶏むね肉 50g
塩(鶏肉下味用) 少々
こしょう少々
油 適量
レモン果汁 小さじ1
キャベツ 10g
寿司のり 1枚

<栄養価(1人分)>

エネルギー 290kcal/たんぱく質 13.4g/脂質 11.3g/食塩 0.4g/ビタミンB1 0.11㎎/ビタミンC 9㎎

<作り方>

①鶏むね肉を焼き、塩・こしょうで味付けして、レモン果汁をかける
②玄米入りご飯に塩をかけて混ぜる。
④寿司のりを広げて、のりの中央に③の半分を広げる。
⑤ご飯の上に②と茹でたキャベツをのせる。
⑥さらに、残りの③をのせて、のりで包む。

<ポイント>

・運動後には糖質とたんぱく質を補給して、疲労や筋肉の回復に努めます。
・玄米には、糖質を効率よくエネルギーに変換するビタミンB1が豊富です。
・高たんぱく質の鶏むね肉を用いて、筋肉の回復に努めます。
・レモンやキャベツに豊富なビタミンCは、疲労回復に効果的です。

はちみつレモン

<材料>

はちみつ 15g
レモン 1個(果汁大さじ2)
水 120mL

<栄養価(1人分)>

エネルギー 58kcal/たんぱく質 0.1g/糖質 16.0g/ビタミンC 15㎎

<作り方>

①レモンを搾る。
②コップに①のレモン果汁とはちみつ、水を入れて混ぜる。

<ポイント>

・運動後にさっぱりといただけるドリンクです。
・はちみつに含まれる糖質はすぐにエネルギーに変えられ、レモンはビタミンCが豊富で、エネルギー回復にぴったりのドリンクです。

Q&A ~どうしてバナナや、和菓子、100%オレンジジュースが運動前の補食にいいの??

運動前の補食に、バナナや和菓子、100%オレンジジュースを紹介しましたが、これらが補食に適しているのはなぜでしょうか?

バナナは万能!?

バナナは口当たりがよくて消化に良いだけでなく、運動時に必要な栄養素が多く含まれる果物です。

バナナの主な栄養素は糖質ですが、エネルギーになりやすいブドウ糖や果糖だけでなく、ゆっくりエネルギーになるでんぷんも多く含まれているため、長時間エネルギーを維持し、スタミナ切れを防いでくれます

また、筋肉収縮に関わるカリウムやマグネシウムも多く含まれています。熱中症や 体がだるい・力が入らないなどの症状、足のつりの予防も期待できます。

和菓子は消化が早く すぐにエネルギーになる

和菓子は低脂質・高糖質で、砂糖が中心の食べものなので おにぎりなどの炭水化物中心のものに比べて消化に時間がかかりません。運動前でも消化器官への負担が少なく、素早くエネルギーを補給できます

ただし、砂糖を摂ると血糖値がすばやく上昇するので、量は摂りすぎないようにしましょう。

100%オレンジジュースは低血糖症状が起こりにくい!

オレンジやみかんの糖質は、血糖値の上昇が穏やかな果糖が中心です。

先ほど説明したように、運動前に急激にブドウ糖を摂ると、急激に血糖値が上がり、体が血糖値を下げようと働くため、運動中にめまいやけいれんなどの低血糖症状が起こってしまいます。

運動前には、果糖中心で飲みやすい100%オレンジジュースがおすすめです。

食べる愉しみを満たすスイーツ

スポーツをしている人は、ケーキやクッキーなどスイーツを我慢しなくてはいけない?

そんなことはありません。それでは食べる楽しみがなくなってしまいますよね。

そこで、頑張った自分へのごほうびになる、甘くておいしいスイーツの上手な摂り方をご紹介します。

おすすめは手作りスイーツです。

使う食材は、脂質の多いものや、ビタミン・ミネラルをあまり含まないものをできるだけ避けましょう。

薄力粉や上白糖、サラダ油やバターはビタミンやミネラルを含まない食材です。これらを、全粒粉やアーモンドプードル、黒糖、オリーブオイルなどで代用するといいですよ。

また、ヨーグルトやクリームなどを選ぶときは、できるだけ「低脂肪」のものを選びましょう。

たんぱく源となるチーズやヨーグルト、大豆製品もおすすめです。ビタミンが豊富なナッツや果物、ミネラルが豊富なドライフルーツをとり入れるとよいでしょう。


Point

・補食を食べるタイミングに注意する

・補食をとるときは、補給したい栄養素に応じて食材を選ぶ

・スイーツを作るときは、脂質が少なく、ビタミンやミネラルをより多く含む食材を選ぶ


運動のプラスになるスイーツ レシピ

エネルギーになるスイーツ

さつまいもプリン

<材料(5人分)>

さつまいも 1本(200g)
卵 2個
牛乳 200mL
三温糖 40g
ゼラチン 大さじ1
水 大さじ2
はちみつ 大さじ3
しょうゆ 大さじ1

<栄養素(1人分)>

エネルギー 184kcal/たんぱく質 4.8g/脂質 2.6g/食塩 0.4g/カルシウム 177mg

※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。

https://cookpad.com/recipe/6946978

にんじんパウンドケーキ

<材料(1本分)>

薄力粉 100g
アーモンドプードル 50g
ベーキングパウダー 小さじ1
にんじん 1本(120g)
三温糖 120g
卵 1個
オリーブオイル 30g
牛乳 40g
レーズン 30g

<栄養素(1人分 ※1/10カット分)>

エネルギー 165kcal/たんぱく質 3g/脂質 6.6g/食塩 0.1g/カルシウム 27mg/ビタミンA 107μgRAE

※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。

https://cookpad.com/recipe/6947009

バナナおからオートミールクッキー

<栄養素(クッキー1枚分)>
エネルギー 66kcal
たんぱく質 1.3g
脂質 2.6g
食物繊維 0.8g
カルシウム 6mg
カリウム 49mg

<材料 (直径5cmのクッキー16枚分)>
マーガリン 40g
三温糖 50g
卵 1/2個
バナナ 1本(100g)
薄力粉 60g
おから(生) 60g
ベーキングパウダー 小さじ1/2
オートミール 40g

<作り方>
①バナナはフォークなどでつぶしておく。
②薄力粉とベーキングパウダーはふるっておく。
③おからは泡だて器などで混ぜ、均一にする。
④常温に戻したマーガリンを泡だて器で混ぜ、白っぽくなったら三温糖を入れて混ぜる。
⑤卵を溶き、④に入れて泡だて器で混ぜる。
⑥バナナを加えてよく混ぜる。
⑦⑥に②と③を入れてへらで切るように混ぜる。
⑧オートミールを加え、均一にする。
⑨オーブンの鉄板にシートを敷き、⑧をスプーンで直径5㎝、厚さ5㎜ほどに成形する。
⑩170℃に予熱したオーブンで25分、きつね色になるまで焼く。

<ポイント>
・バナナを加えることでマーガリンや砂糖の量を減らしました。
・おからを使うことで薄力粉の量を減らし、カルシウムなどのミネラルを補給!
・バナナの甘味成分はエネルギーになりやすく、便秘の改善効果もあります。
・オートミールは食物繊維も豊富で、クッキーに入れることでパリッとした食感に仕上がります。

体調を整える・体づくりに役立つスイーツ レシピ

体調を整えるスイーツ

バナナヨーグルトスムージー

<材料(1人分)>

ヨーグルト 80g
バナナ 50g

<栄養素>

エネルギー 95kcal/たんぱく質 3.5g/脂質 2.6g/食塩 0.1g/カルシウム 180mg/カルシウム 96g

<作り方>

①バナナは皮をむいてラップに包み、冷凍させておく。
②ミキサーにバナナとヨーグルトを入れてミキサーにかける。

<ポイント>

・ミキサーが無ければ、ヨーグルトを凍らせてほぐし、つぶしたバナナを混ぜるとよいです。
・夏の暑い日にさっぱり食べられます。
・カルシウム、カリウムの補給におすすめ。
・バナナに含まれるフラクトオリゴ糖は腸内環境を整えてくれます。

体をつくるスイーツ

グレープフルーツヨーグルトゼリー

<材料(4人分)>

ヨーグルト 300cc
牛乳 60cc
グレープフルーツ 3/4個
砂糖 大さじ1
ゼラチン 大さじ1

<栄養素(1人分)>

エネルギー 76kcal/たんぱく質 3.9g/脂質 2.7g/食塩 0.1g/カルシウム 94mg

<作り方>

①鍋に牛乳を入れ、ゼラチンを振り入れて10分ほど置いておく。
②ゼラチンがふやけたら、弱火にかけてゼラチンを完全に溶かす。
③ヨーグルトと砂糖を入れて均一に混ぜる。
④グレープフルーツは皮をむき、ほぐしながらゼリーを固める容器に入れる。
⑤④に③を入れて、グレープフルーツが沈まないように軽く混ぜる。
⑥冷蔵庫で冷やし固める。

<ポイント>

・カルシウムの補給にお勧め。
・夏の暑い日にさっぱり食べられます。
・ゼラチンが溶けきっていないと、固めた時に分離してしまうので、よく溶かして下さい。

ハニーきな粉ミルク

<材料>

牛乳 200g
きな粉 小さじ1
はちみつ 小さじ1
お湯 適量

<栄養素(1人分)>

エネルギー 147kcal/たんぱく質 7g/脂質 7.8g/カルシウム 223mg

<作り方>

①コップにきな粉とはちみつ、少量のお湯を入れてきな粉を溶かす。
②牛乳を加えて均一になる様に混ぜる。

ポイント>

・カルシウム、たんぱく質の補給にお勧め。
・はちみつに含まれる糖質はすぐにエネルギーに変換され、エネルギー回復にお勧めです。
・暑い日は冷やして、寒い日は温めてお召し上がりください。

チーズ豆腐ムース

<材料(5人分 ※150㏄の容器×5)>
クリームチーズ 90g
低脂肪ヨーグルト 90g
絹ごし豆腐 60g
低脂肪生クリーム 60g
砂糖 40g
レモン果汁 レモン1/2個分
ゼラチン 大さじ1
水 大さじ2

※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。

https://cookpad.com/recipe/6946945