食で応援! 運動能力アップごはん 第7回 必須!なのにごく微量? 体を動かす必要不可欠な栄養素~ミネラル~
運動に取り組むお子さんをサポートするための、栄養やおすすめレシピをご紹介する連載です。
第7回のテーマは、ミネラル。
ミネラルは、体を動かすために必要不可欠な栄養素です。ビタミンと同じく 体内で作り出すことができないため、食べて摂らなくてはなりません。
今回は、ミネラルにどんな種類があり、どのように役立ち、どんなものを食べて摂ればいいのかまで、お話させていただきます。
監修:中江祥子(管理栄養士)
ミネラルは ごく微量だけどの機能を維持するために不可欠
ミネラルは五大栄養素のひとつで、人の体の構成成分です。
筋肉や神経を正常に保ったり、エネルギーを生み出したり、血圧の調節するなどの役割があります。
ミネラルの必要量は、体の約4%とごく微量ですが、生命維持には必要不可欠です。
また、体内で合成できないため、食べものから摂取する必要があります。
ミネラルは100以上の種類がありますが、その中でも人の体に必要で、不足しがちなミネラルを「必須ミネラル」といいます。
必須ミネラル(16種類) カルシウム、リン、カリウム、硫黄、塩素、ナトリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、クロム、ヨウ素、セレン、モリブデン、コバルト |
これら必須ミネラルの中でも、スポーツに取り組むお子さんに しっかり摂ってもらいたいカルシウムと鉄をピックアップしてご紹介します。
カルシウムのはたらき
①カルシウムは、丈夫な骨や歯を作る
カルシウムは骨や歯の主成分です。
食べものから摂取したカルシウムは、小腸で吸収されて骨や歯を形成します。
また、骨はカルシウムの貯蔵庫です。
カルシウムは血液にも一定量含まれており、②で説明する通り筋肉の収縮などの働きをしています。
この血液中のカルシウムが不足すると、補うために骨から溶け出してしまいます。これが骨密度低下の原因となるのです。
骨折や骨粗しょう症を予防するためにも、積極的にカルシウムを補給しましょう。
②カルシウムは、筋肉の働きを調節する
筋肉の収縮や弛緩はカルシウムが調節しています。
例えば、心臓の動きも 筋肉が収縮によっておこっているので、正常に心臓から血液を送り出すにはカルシウムの働きが必要なのです。
運動に取り組むお子さんは、運動中に足がつってしまうことがあるのではないでしょうか?
足がつる原因のひとつが、カルシウムなどのミネラルが不足し、筋肉の弛緩が異常になってしまうためです。
筋肉の動きを調節するカルシウムは、運動によって汗をたくさんかくことで失われやすくなります。
毎日こまめにカルシウムを補給するよう、心がけましょう。
鉄のはたらき
鉄は酸素を運搬する働きがあります。
鉄は赤血球や筋肉のヘモグロビンやミオグロビンという成分の材料で、体中に酸素を運搬します。
鉄もカルシウムと同じく、汗をかくことで流れ出てしまいます。また、呼吸量も増えるため 酸素を運ぶために鉄が必要となり 鉄が不足してしまいます。
鉄が不足すると貧血を引き起こし、パフォーマンスも低下するので意識的に鉄を補給しましょう。
カルシウムと鉄 補給のポイント
カルシウムと鉄が含まれている食品
カルシウムは動物性食品に多く含まれており、吸収率が最も高いのは牛乳や乳製品です。
そのほかにも、骨ごと食べられる魚や 植物性食品では青菜類、切干大根、大豆製品にも豊富に含まれます。
鉄は動物性食品に多く、レバーや赤身の肉、魚介類に豊富です。
肉類の中では牛もも肉に特に多く含まれます。
植物性食品では、青菜類や大豆製品にも比較的多く含まれます。
カルシウムと鉄 効率のよい食べ方
ーカルシウムー
ビタミンDやビタミンCと一緒に摂りましょう。ビタミンDはカルシウムの吸収を高める上に、骨にカルシウムが沈着する働きを助けてくれます。
また、ビタミンCもカルシウムの吸収を促進するので、一緒に摂ることで効率よくカルシウムを摂取できます。
ー鉄ー
食品中の鉄は、ヘム鉄(Fe2+)と非ヘム鉄(Fe3+)に分けられます。
主に動物性食品はヘム鉄、植物性食品は非ヘム鉄という形で存在します。
ヘム鉄のほうが吸収されやすく、効率よくとることができます。
ビタミンCは鉄を吸収しやすい形に変える働きと、ヘモグロビンの生成を促す働きがあるので、一緒にとるようにすると良いです。
特に非ヘム鉄については、吸収を促進する成分と 抑制する成分があります。
鉄の吸収を高める食品 ビタミンCを含む野菜やフルーツ(非ヘム鉄の吸収を促進) 肉や魚などの動物性たんぱく質 梅干しやレモンなどクエン酸を含む食品 |
鉄の吸収を妨げる食品 緑茶・紅茶・コーヒーなどのタンニンやカフェインを含む飲料 乳製品などのカルシウムを含む食品 |
吸収を促進する成分が含まれる食品と一緒に鉄をとると、効率よく鉄が吸収されます。
逆に 吸収を抑制する食品は 鉄を一緒に摂らないようにすることがおすすめです。緑茶やコーヒーを飲みたい場合は、食後しばらくしてからにしましょう。
カルシウムや鉄だけでなく、さまざまなビタミンやミネラルは 具だくさんのスープやみそ汁にすると補給しやすいですよ。
Point
・ミネラルは、ごく微量だが、食べ物から摂らなければならない必要不可欠な栄養素である。
・カルシウムは骨や歯を形成し、ビタミンDやビタミンCと一緒に摂ると効果的である。
・鉄は、酸素を運搬するのに不可欠な栄養素で、ビタミンCと一緒に摂取することで、吸収されやすくなる。
おすすめレシピ
主菜<カルシウム>
ししゃものオニオンレモンマリネ
<材料(1人分)>
ししゃも 60g(4尾)
玉ねぎ 10g
赤パプリカ 5g
パセリ 適量
レモン果汁 大さじ2
砂糖 小さじ2
食塩 少々
<栄養価(1人分)>
エネルギー 166kcal/たんぱく質 14.8g/脂質 10.7g/食塩 1.2g/カルシウム 238mg/ビタミンC 42mg
※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。
https://cookpad.com/recipe/6903561
副菜<カルシウム>
切干大根とひじきのねりごまドレッシングサラダ
<材料(1人分)>
切干大根 15g
ひじき 2g
キャベツ 20g
にんじん 5g
練りごま 小さじ1/2
砂糖 小さじ1/2
しょうゆ 小さじ1
酢 小さじ2
<栄養価(1人分)>
エネルギー 84kcal/たんぱく質 2.1g/脂質 1.8g/食塩 0.6g/カルシウム 144mg/鉄 2.0mg
<作り方>
①切り干し大根は揉み洗いして、水で戻す。食べやすい長さに切り、さっとゆでる。
②ひじきは戻してさっとゆでる。
③キャベツ、人参は千切りにしてさっとゆでる。
④調味料を合わせて、①~③と和える。
<ポイント>
・切り干し大根、ひじきにはカルシウムや鉄が豊富に含まれます。
・カルシウムや鉄は、キャベツに豊富なビタミンCと共に食べると吸収率がUPします。
主食〈カルシウム〉
しらすのカレーチーズトースト
<材料(3人分)>
食パン 4枚切り1枚
しらす 10g
レトルトカレー 20g
チーズ 20g
<栄養価(1人分)>
エネルギー 297kcal/たんぱく質 12.1g/脂質 8.1g/食塩 1.8g/カルシウム 115mg
※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。
https://cookpad.com/recipe/6903531
主食に+α〈カルシウムUP〉
じゃことひじきのおかかふりかけ
<材料(作りやすい量)>
じゃこ 50g
ひじき 10g
かつおぶし ふたつかみ
白ごま 大さじ2
砂糖 大さじ1
みりん 小さじ2
しょうゆ 大さじ1
酢 大さじ1と1/3
<栄養価(1人分)>
エネルギー 22kcal/たんぱく質 2.0g/脂質 0.6g/食塩 0.4g/カルシウム 23g
<作り方>
①調味料を鍋に入れて煮溶かす。
②①に雑魚を入れ水分がなくなるまで加熱する。
③最後にごまを入れる。
<ポイント>
・作り置きができ、ご飯にかけてカルシウムUP!
・甘辛い味付けで、食事も進みます。
主菜〈カルシウム+鉄〉
牛肉と揚げ凍り豆腐の炒め煮
<材料(1人分)>
牛肉 80g
凍り豆腐(高野豆腐) 10g
片栗粉 適量
さつまいも 30g
青梗菜 60g
にんじん 10g
油 適量
しょうゆ 小さじ1/2
オイスターソース 小さじ1
水 10g
片栗粉(仕上げ用) 小さじ1
<栄養価(1人分)>
エネルギー 311kcal/たんぱく質 20.5g/脂質 17.7g/食塩 1.9g/カルシウム 144㎎/鉄 2.0㎎/ビタンB6 0.51㎎/ビタミンB12 1.3μg/ビタミンC 25㎎
<作り方>
①高野豆腐は水で戻す。
②①の水気をしっかり切り、3cm角に切る。
③高野豆腐に片栗粉をまぶし、油で1分ほど揚げる。
④さつまいもは1cm幅、人参は5mm幅のいちょう切り、青梗菜、牛肉は3cm幅くらいに切る。
⑤さつまいも、人参、青梗菜は下茹でしておく。
⑤フライパンに油を熱し、牛肉、人参を炒めて水を加える。
⑥煮立ったらさつま芋、青梗菜を加える。
⑦高野豆腐を入れて調味し、水溶き片栗粉でとろみをつける。
<ポイント>
・大豆製品である高野豆腐や、ほうれん草にはカルシウムや鉄が豊富です。
・カルシウムや鉄は、さつま芋に豊富なビタミンCと一緒に摂ると吸収がUPします。
・先に高野豆腐を多めの油でいためると、ジューシーさが増し、カロリーUPにお勧めです。
主菜〈鉄〉
マグロの血合いの竜田揚げ
<材料(3人分)>
まぐろ(血合い) 240g
しょうが 1かけ
しょうゆ 大さじ1
酒 大さじ1
みりん 大さじ1/2
片栗粉 適量
揚げ油 適量
白髪ねぎ 適量
<栄養価(1人分)>
エネルギー 182kcal/たんぱく質 18.0g/脂質 8.3g/食塩 1.0g/鉄 1.4㎎/ビタミンB6 0.87㎎/ビタミンB12 1.8μg
※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。
https://cookpad.com/recipe/6903552
副菜〈カルシウム ビタミンK〉
モロヘイヤとパプリカのナムル
<材料(1人分)>
赤パプリカ 5g
黄パプリカ 5g
白ごま 小さじ1/3
食塩 少々
こしょう 少々
ごま油 小さじ1
<栄養価(1人分)>
エネルギー 49kcal/たんぱく質 49g/脂質 3.7g/食塩 3.7g/カルシウム 90㎎/ビタミンK 192μg/ビタミンC 37㎎
<作り方>
①モロヘイヤは食べやすい大きさに切り、茹でる。茹で終わったら、冷水につける
②パプリカは千切りにする。
③白ごまはすり鉢ですりおろす
④モロヘイヤ、パプリカ、ごま、塩、胡椒、ごま油を合わせて混ぜる。