食で応援! 運動能力アップごはん 第6回 ビタミンってどうして必要? 食べて摂らなきゃいけない栄養素 ~ビタミン~
運動に取り組むお子さんをサポートするための、栄養やおすすめレシピをご紹介する連載です。
第6回のテーマはビタミンです。
タイトルにある通り、ビタミンは「食べて摂らなきゃいけない栄養素」です。
では、どうしてビタミン摂らなければいけないのでしょうか? ビタミンが運動に取り組むお子さんにとって必要な栄養素である理由や、美味しく栄養をとり入れられるレシピをご紹介します。
監修:中江祥子(管理栄養士)
ビタミンは 体の機能を維持するために不可欠
ビタミンは、ごく微量でありながら、エネルギーや体の組織を作るのを助け、機能を維持するために不可欠な栄養素です。
体内で合成できないか、できても十分な量ではないので、食べ物から摂取する必要があります。
今回は、人に必要なビタミン13種類から、特に重要なものをピックアップして紹介します。
脂溶性ビタミンと水溶性ビタミン
ビタミンには、油に溶ける脂溶性ビタミンと、水に溶ける水溶性ビタミンがあります。それぞれの性質をふまえて、より効率的にとり入れられるよう調理しましょう。
ビタミンそれぞれの働きと合わせて覚えておくと、ビタミン不足解消に役立ちます。
脂溶性ビタミン…ビタミンA、D、E、K
ビタミンD
腸でのカルシウムの吸収や骨への沈着を助け、骨や歯の形成、成長促進に不可欠な栄養素です。
カルシウムは筋肉の収縮にもかかわっていて、ビタミンDが血中のカルシウム濃度を調節することで、筋肉の活動を正常に保っています。
きのこ、鮭などの魚介類、卵黄に多く含まれます。
ビタミンK
吸収されたカルシウムの 骨への沈着をサポートします。骨粗鬆症の予防にも役立つとして治療薬にも使用されています。
ほうれん草やモロヘイヤなどの緑黄色野菜、納豆やチーズなどの発酵食品に多く含まれます。
脂溶性ビタミンの食べ方
脂溶性ビタミンは、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。
炒め物や揚げ物などの油を使った調理方法で食べると効果的です。
また、きのこ類は紫外線に当たることでビタミンDの量が増えるので、しばらく日光に当ててから調理して食べる方法がおすすめです。
水溶性ビタミン…ビタミンB1、B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、C
エネルギー産生に必要!! ビタミンB1、B2
ビタミンB1は豚肉(特に赤身)、ぬか、玄米、胚芽、大豆に多く含まれます。
にらやネギ類、ニンニクなどに含まれる「アリシン」という香り成分は、ビタミンB1と結合し、長く血液中にとどまる性質があります。
また、アリシンはビタミンB1の排泄を抑える効果があるので、これらの食品と合わせて摂ることをおすすめします。
ビタミンB2は幅広い食品に含まれます。特に卵やレバー、チーズ、魚介では青魚やウナギに豊富です。多くの食品に含まれているるので、バランスの良い食事を心がけましょう。
比較的加熱には強いので、炒めたり焼いたりと、さまざまな料理に調理して食べてください。
炭水化物、たんぱく質、脂質は「酵素」の働きで分解されてエネルギーに変換されます。
この酵素を働かせるために必要になるのが、ビタミンB1やB2などです。
中でも、ビタミンB1は糖質代謝、B2は脂質代謝で多く消費されます。
運動によってエネルギーを消費するお子さんほど、ビタミンB1・B2が必要となるので、不足しないように心がけましょう。
たんぱく質合成に必須!ビタミンB6、B12
ビタミンB6は主に動物性食品(肉類ではレバーやささみ、魚介類ではマグロの赤身に多い)や種実類(アーモンド・ピーナッツ・クルミなど)に、ビタミンB12は動物性食品のみに含まれます。
体内のたんぱく質は、分解と合成を繰り返して一定の量を保っています。
ビタミンB6やB12は摂取したたんぱく質を分解してアミノ酸にし、再び体内のたんぱく質に合成する働きをサポートしてくれます。
また、ビタミンB6は体内のたんぱく質をエネルギーに変換するときにも必要となります。つまり、ビタミンB6は体を作る働きと体を動かす働きを助けてくれます。
運動をするお子さんの体の働きには、より多くのたんぱく質が必要となるので、同時にビタミンB6 とB12 も摂取することを心がけましょう。
ビタミンB12は酸素を全身に運ぶ赤血球の生成に不可欠な栄養素です。運動するお子さんは貧血に陥りやすいので、鉄分と一緒にビタミンB12もしっかりとりましょう。
ビタミンC
ビタミンCは、緑黄色野菜やイチゴ、レモン、キウイなどに多く含まれ、いも類ではサツマイモやジャガイモに豊富です。
いも類に含まれるビタミンCはいものでんぷんに守られているため加熱に強く、効率的に摂取することができます。
ビタミンCはカルシウムや鉄の吸収を促進してくれます。つまり、骨の形成や、貧血の予防にも必要な栄養素です。
また、疲労を予防する効果や、緊張によるストレス防止も期待できます。
激しい運動を行うと、体内では活性酸素が生まれます。この活性酸素が原因で体が疲労してしまうので、抗酸化作用があるビタミンCをとって、活性酸素を抑えましょう。
ビタミンCは不足しやすい栄養素なので意識的に取り入れることが必要です。
Point
・ビタミンは、食べ物から摂らなければならない栄養素で、それぞれに重要な働きがある
・脂溶性ビタミンは、油を使った調理法で調理すると、より効率よくとることができる
・水溶性ビタミンは、水に溶けやすいので、水で洗いすぎず、ゆで汁も食べられる調理法にするとよい
おすすめレシピ
主菜〈ビタミンD+カルシウム〉
イワシの梅チーズ焼き
<材料(3人分)>
いわし開き(生) 大1枚
食塩 少々
梅肉 5g
スライスチーズ 1/2枚
大葉 2枚
薄力粉 適量
油 適量
<栄養価(1人分)>
エネルギー 272kcal/たんぱく質 19.2g/脂質 19.1g/食塩 1.1g/カルシウム 134mg/ビタミンB6 0.38mg/ビタミンB12 8.1μg
※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。
https://cookpad.com/recipe/6885039
主菜〈ビタミンK+カルシウム〉
納豆卵焼き
<材料(3人分)>
卵 3個
納豆(たれも使用) 1パック
しらす干し 30g
油 適量
<栄養価(1人分)>
エネルギー 190kcal/たんぱく質 11.6g/脂質 19.2g/食塩 1.3g/カルシウム 62mg/ビタミンK 101μg
<作り方>
①卵を溶いて、納豆、しらす干しを加えて混ぜる。
②フライパンに油を熱し、①を焼いて形を整える。
<ポイント>
・納豆に豊富なビタミンKは、しらすにも含まれるカルシウムの吸収をサポートします。
・ビタミンKは、油と一緒に摂取すると効率よく吸収されます。
主食〈ビタミンD+カルシウム〉
鮭と干しきのこのミルクピラフ
<材料(3人分)>
米 2合
鮭 150g(中2切れ)
しめじ 30g
まいたけ 30g
青梗菜 60g
牛乳 300g
バター 6g
塩 少々
<栄養価(1人分)>
エネルギー 547kcal/たんぱく質 19.9g/脂質 12.8g/食塩 0.4g/カルシウム 141mg/ビタミンD 8.5μg
※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。
https://cookpad.com/recipe/6885050
主食・主菜・汁物〈ビタミンB1+炭水化物〉
玄米リゾット
<材料(3人分)>
玄米 210g
豚もも肉(薄切り) 60g
玉ねぎ 120g
にんじん 30g
トマト 90g
水 3カップ
粉チーズ 適量
コンソメ 固形1個
<栄養価(1人分)>
エネルギー 347kcal/たんぱく質 12.9g/脂質 5.7g/食塩 0.4g/ビタミンB1 0.61mg/ビタミンB2 0.64mg/ビタミンB6 0.47mg
※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。
https://cookpad.com/recipe/6885065
副菜〈ビタミンB1+炭水化物、ビタミンC〉
玄米サラダ
<材料(1人分)>
玄米 15g
かぼちゃ 50g
赤パプリカ 10g
黄パプリカ 10g
きゅうり 20g
砂糖 小さじ1
食塩 少々
酢 小さじ1
<栄養価(1人分)>
エネルギー 115kcal/たんぱく質 2.5g/脂質 0.7g/食塩 0.2g/ビタミンB1 0.11㎎/ビタミンC 56㎎
<作り方>
①かぼちゃは2㎝角、パプリカは1㎝角、きゅうりは幅1㎝のいちょう切りにする。
②玄米はやわらかくなるまでゆでる(30分ほど)
③かぼちゃは茹でる。
④玄米と野菜を合わせて、調味料で味付けする。
<ポイント>
・玄米とかぼちゃで、炭水化物とビタミンB1を同時に摂取できます。
主菜〈ビタミンB6・B12+たんぱく質〉
マグロのピカタナッツソースかけ
<材料(3人分)>
まぐろ切り身 60g
酒 適量(臭みとり用)
食塩 少々
薄力粉 適量
卵 適量
油 適量
<ナッツソース>
くるみ 5g
砂糖 小さじ1
しょうゆ 小さじ1
酒 小さじ1
バター 5g
<付け合わせ>
ズッキーニ 30g
茄子 30g
オリーブオイル 適量
<栄養価(1人分)>
エネルギー 218kcal/たんぱく質 19g/脂質 11.7g/食塩 1.1g/ビタミンD 4.1μg/ビタミンB6 0.42mg/ビタミンB12 8μg
※詳しい作り方やポイントは、こちらで紹介しています。
https://cookpad.com/recipe/6885744
副菜〈ビタミンC〉
キウイドレッシングサラダ
<材料(1人分)>
レタス 40g
セロリ 10g
赤パプリカ 10g
冷凍コーン 10g
キウイ 30g(1/3個)
砂糖 小さじ1
塩 少々
酢 小さじ1
油 小さじ1/2
<栄養価(1人分)>
エネルギー 75kcal/たんぱく質 1g/脂質 3.2g/食塩 0.3g/ビタミンC 30㎎
<作り方>
①レタスは短冊切り、セロリ、パプリカは1㎝角に切る。
②キウイは1cm角に切り、調味料と合わせてドレッシングを作る。
③①と解凍させたコーンを和えて、②をかける。
<ポイント>
・パプリカやキウイにはビタミンCが豊富に含まれます。
・キウイをドレッシングに使って、さっぱりと食べられるサラダです。