美味しく食べよう 2
ごきげんよう!スマイリー平野😊です。
いつも、笑顔会ブログをご覧いただきありがとうございます。
今週は、味とニオイ(好ましいニオイには匂い、嫌なニオイは臭いの漢字を使うそうです)に ついてお話をさせていただきます。美味しい食べ物は食欲をそそる匂いをともないますが、納豆、鮒鮓、くさやの干物、チーズなどの発酵食品にはくさいと感じる食べ物があります。「くさくても美味しいもの」は食べてみようという勇気が必要ですが、その個性的な美味しさは勇気に見合った感動があります。なぜかと云えば、臭いのもとになる物質と美味しいものとなる物質が異なるからです。嗅覚には順応現象があり、嗅ぎ続けると感受性が低下してくさくなくなり、美味しい物質の味覚が残るからだと考えられます。
少し話はそれますが、日本には四季のある湿潤な気候に育まれたすばらしい発酵食品(鰹節、味噌、醤油、日本酒、焼酎、米酢、味醂など)が多くあります。子供たちに、日本の食の文化遺産とも云える素晴らしい本物の味を伝えていかなければならない責任があります。
学校給食では、化学調味料などをパッパッと振りかけたグルタミン酸ナトリウムという画一化された味ではなく、多少の手間は掛りますが、世界一硬い食べ物と云われる鰹節や昆布などから取った本物の出汁の風味(香りと旨味)を子供たちが感じ日本各地の食文化を伝承するように心がけています。(3学期から東大阪市と伊賀市の給食をアップしています。味噌汁には赤みそ文化の郷土食がよく反映されています)
話をニオイに戻しましょう。ニオイは鼻で感じますが、ニオイの分子が鼻腔に入る経路は2つあります。呼吸に伴って鼻の穴を通して前方から入る経路と、口の中から中咽頭を通り後方から鼻腔に入る経路です。食べ物のニオイは、口の中に入れてから鼻腔に上がるほうがずっと多く肺からのぼってきた呼気が、ニオイの分子と一緒に鼻腔を通って鼻の穴から排出されるからです。鼻をつまむと味がわからなくなるのは、呼気が鼻の穴を通らず口から排出されるからです。こんな例があります。ピーマンやトマトが嫌いな子供が鼻をつまんで涙目で給食を食べています。ピーマンやトマトの味が嫌いなのではなくニオイが耐えられないからです。僕もタイ料理のパクチーが苦手でトムヤンクンを注文しません。一方、風邪や鼻炎で鼻がつまると食べ物が美味しく感じられなくなるのも、舌では味覚を感じていても鼻から呼吸が出来なくなるので、ニオイを感じることが出来ないからです。つまり、普段からニオイを味だと思い込んでいるからなので、美味しいと感じるにはニオイが大きな要因ということです。
先週は、五つの基本味(苦味、甘味、塩味、酸味、旨味)と温度の話をしましたが、ニオイも温度の大きな影響を受けます。冷たい牛乳と温めた牛乳では温めた方が強く匂います。電車で出来立ての豚まんをお土産に買ってが乗ってきた時は車内に豚まんの匂いが充満します。美味しい食べ物を人は匂いと思い出と共に記憶して、匂いがその記憶を呼び起こし「ある時、ない時」「最近、食べてないな」など家族と食べた情景もうかびます。温かい給食の食缶を開けた時に教室中に漂う美味しい匂いで、児童、生徒が思わず笑顔をなってくれれば調理員の遣り甲斐になります。僕にも4時間目の給食室から漂う匂いに思い出がいっぱいあります。
長くなりますが、最後に一つだけお願いがあります。梅林でバーべキューはNGだと思います。梅は赤、白、黄色と彩りも豊かですが、漂う香りも素晴らしく春の訪れを感じさせてくれるものです。以前、関西では有名な梅林へ行きましたが、BBQの煙で春の香りが台無しになっていました。ニオイが漂わない春らしいお弁当にして花と香りを楽しみましょう。これも継承しなければならない、日本の文化だと思いますが如何でしょうか?
菅原道真(天神様)は
「東風吹かば におひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」(春になって東風が吹いたなら、その風に託して太宰府へ香りを送ってくれ、梅の花よ、主人の私がいないからといって、咲く春を忘れるな)と詠んで太宰府に流されていきました。お肉が焼ける匂いが太宰府天満宮へ届きませんよう願います。
それでは、ごきげんよう!